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August 10, 2014

「春を背負って」笹本稜平

長嶺亨は脱サラをして父親の山小屋を継いだ。父をなくしたOL、84歳のクライマー、7歳の女の子、ホームレスのゴロさん…美しい自然に囲まれたこの山小屋には、悩める人を再生する不思議な力があった。傑作山岳小説『還るべき場所』の作者が描く登山の魅力。

職場は夏休み・・・。
家族と友人と、旅行やグルメなどをエンジョイしている皆さんを少々羨ましく思いつつも、映画鑑賞と読書に浸る、ある意味贅沢な時間。
まずは、山小屋を舞台にして、松山ケンイチ主演で映画化もされたというこの本から。

不慮の事故で突然父親を亡くし、その父親の生きがいであった山小屋を脱サラして継ぐことになった主人公、亨。
父の旧知の間柄であり、ホームレスで山のプロフェッショナルのゴロさん、自殺願望のところを助けられた美由紀、そのほか、さまざまな人との出会いが山(と山小屋)にあり、物語が展開されていく。

ところで、最近は山を舞台にした小説が流行なのかな?
湊かなえの「山女日記」とか北村薫の「八月の六日間」とか・・・。
この本の解説のどこかにも書いてあったが、「山は悩める人々を再生する不思議な力がある」とか??

少なくとも、ストーリーを読み進めるうちに、主人公の亨が(山小屋を営む中で)自分の人生を再生をしていく姿は、鮮やかにみえてくる。

そう、「脱サラ」といっても、きっかけは挫折だったのだ。メーカーで新技術の開発者として研究に打ち込み、輝かしい成果も出していたはずなのに。
そのくだりは、この本の最初の方に、それまでの父との少し距離を置いていた関係とともに描かれている。

会社やら学会やらという他人の褌で相撲をとり、その価値を決めるのも他人の尺度によるしかない。本当の意味での亨の喜びはそこにはない。
しかし、父の場合は違っていた。その夢は心の中で完結するものだった。他人がどう評価するかなど眼中にはなかっただろう。それは夢というより、生きる喜びの源泉とでもいうべきもののはずだった。

実は、私、この部分をちらっと立ち読みして、すごく共感して手に取ったという・・・。
まあ、それはともかく、読後感がとてもさわやかな本。オススメ。

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