期待のかけ方一つで、人の成長や成功が、ひいてはゴールの達成が大きく左右されます。
人を育て、ゴールに導くための正しい期待のかけ方。それを伝えるために、本書を著しました。正しい期待をかければ、人は必ず成長する。これは私の信念です。
(略)
すべての人が、正しい期待をかけ、かけられて成長、成功できるように。ゴールを達成できるように。そして、自分らしく生きられるように。
そんな願いを、本書に込めています。
「著者からのメッセージ」(出版社Webサイトより)
元早稲田大学ラグビー部監督で智将といわれた中竹竜二氏の著書。
全般的に説得力があったのだが、特に参考になったのは第5章「<実践>期待のマネジメント」。どんな人(部員)にどのような期待を、どのようなストーリーでマネジメントしてきたのかが、実例(ケース)であがっている。
「不満ばかり言って意欲がない人をどう成長させるか」「”昔はできるヤツだった”をもう一度、どう伸ばすか」などなど、「こういう学生(ワタシのシゴトの場合)、いるよね~」という例が8つあがっていて、それぞれの部員に、監督である中竹氏がどうかかわったのかが具体的かつ率直に示されている。
第1章から第4章までの内容でとどまっていれば、「なるほどそういう考え方、やり方もあるか~」くらいの感想で終わっていたかもしれない。ワタシがこの本にぐーっとひきつけられたのは、「実践」の第5章の存在である。
中でも一番印象的だったのは、ケース5の「大きく無謀な夢を持っている人にどう向き合うか」。
そんな部員に、中竹氏は「持ち味を活かして、最も輝く三流になれ」というビジョンを示した。「たとえ三流だとしても、スタイルを確立し、それを発揮し続ければ、一流よりもずっと輝くことがある」と。
大学選手権を二連覇するようなトップのスポーツチームなのに、「一流以外」を切り捨てないで、「三流としての生き方(活かし方)」を示す監督がいるということにまず驚いた。そして、それに納得して目標に向かって動ける部員にも驚いた。
このケースのようにチームスポーツの世界であれば、「一流」がいて「それ以外」がいるということは、より分かりやすいと思うが、結局は会社であれ何であれ、同じことがいえる。
そういえば、オット(CGデザインを生業とする会社員)は、才能、センスやスキルにかなわないデザイナーもいるが、自分はそれを目指すのではなく、二流をキープし続け、職業デザイナーとして業界で生きていく・・・とずいぶん前に言っていた。
どう考えても、いつも傍流の存在で、何にしろ「一流」とはいえない道を歩んできたワタシにとって、感動的なケースだった。
「一歩踏み込んだ」期待マネジメントの本。オススメ。
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