「独学という道もある」
高校へは行かずに、独学で大学へ進む道もある。通信課程の大学で学び、学者になる方法もある。レールはひとつではない。世界の価値観は多様だ。自分のペースで学び、生きていくためのヒントと勇気をくれる一冊。
著者は東京大学大学院経済学研究科准教授。
この肩書きを見ると「えらい人」「頭のいい人」「遠い存在の人」と思いがちだが・・・。
著者の柳川氏は、高校には行かず、大学も通信課程だった。
大検をパスした後、受験のない通信教育の大学へ(慶応大学)。
だからといって、グレていたとかひきこもりだったとか、そういうわけではなく、親のシゴトの関係で海外に滞在していた期間が多かったからという理由が大きいのだが。
規定の年数で卒業することが非常に困難であるという点で有名な(入るのは簡単だが出ることがとんでもなく難しい)慶応大学通信教育課程を卒業し、東京大学の大学院を受験(これが、柳川氏がマトモに経験した初めての受験だったという・・・)。
経済学者を目指すことになる。
この本を読んで勇気づけられることは多い。
まず、「人と少し違う道を通っても目指すところに行けるのだ」ということ。
「レールは一つではない」ということ。
要所での人との出会いも大きかったという。
通信教育課程の卒論指導担当教員だった大山道広先生との出会い。
その後大学院で指導を仰ぐことになる伊藤元重先生との出会い。
人だけではなく、自分に合った興味を深めることができる本との出会いもあったとか。
経済学に対する問題意識がブラジルやシンガポールに滞在していた思春期に感じたことがベースとなっているとも述べている。
経済学は難しいけれど、柳川氏だったら分かりやすく解説してくれるかも。。。
柳川氏は「大人の方々へのメッセージ」という項でこう言っている。
大切なことは、将来の道は閉ざされてしまったと悲観しないことだと思います。普通に考えている以外にも、実は道はたくさんあるのだとしっかり認識することで、見えてくるものがさまざまあるように思います。
いろいろな意味で身近に感じ(シゴトが近いということもある)、共感したり(ある意味、ワタシもちょっと変わったルートをたどっているのかも?)、参考になったり(生涯教育に関するテーマという意味で)、感情的に応援させていただきたくなったり。。。
若い人も大人も、読んだ後、何となく前向きな気持ちになることができる本。オススメ。
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