「愛し続けるのは無理である」内館牧子
新卒で入った会社に在籍していた頃、「今後のワタシは
どうすべき?」と揺れ動いていた時期があった。
そんなときに手にし、大いに感銘を受けた本が、
内館牧子さんのエッセイ「切ないOLに捧ぐ」だった。
「30歳からでも40歳からでも、新たなスタートを切ることは
できるんだ」と納得できた本だった。
・・・もちろん、それなりのリスク、覚悟を背負うことが必要だけど。
夢だけじゃなくってね・・・ということも含んだ上で。
先日、Amazon.co.jpからのメールでなぜかオススメされたのが
「愛し続けるのは無理である」。
文庫本となってあらためて最近発売された様子。
内館さんのエッセイを手にするのは久々だが、
たまたま本屋に平積みになっていたので、即購入。
通勤等の細切れの時間で読みきった。
内館さん自ら「ミもフタもないタイトル」と言っているが、
ワタシくらいの年齢だったら、このタイトルの意味することは
納得できる。
でも、このタイトル、決して「絶望」を表しているわけではなくて。
(P11 前書き より)
つくづく年齢を重ねることは面白い。
世俗で鍛えられ、清濁あわせ飲むばかりか
煮え湯も飲まされ、「愛し続けるのは無理である」と
骨身にしみている狡さと優しさ。
そんな年代の男と女の出会いや、愛し方や、
思いやり方は、これまた刺激的で面白く、
かつなぜか安らぐものである。
そして、「愛し続けるのは無理」という前提で、「仕事や能力と
いう背骨が必要。その背骨があれば、何かあったときでも
フニャフニャにならない」と説く。
ごもっとも。
全体的には、内館さんらしい(?)ズバズバと痛快な物言いの
エッセイ。軽い感じで読めるが、その中に、わが身に置き換えて
考えさせられるポイントもいくつかあると思う。
ワタシの心に強く残ったのは、
<<阿久悠さんがつぶやいたという「プロ論」>>
「プロっていうものは、相手の熱をいかに冷めさせないか、
その手腕だからね」。
<<アテネオリンピック金メダリスト谷本歩実の姿から考える
人としての「残身の美しさ」>>
アテネオリンピックの柔道チームリーダーの方が、谷本歩実の
試合後の姿を見て言った言葉が、「残身の美しさ」だとか。
仕事でも恋愛でも、投げたり投げられたりした後に、谷本選手の
ように、「スッと立ち上がり何事もなかったかのように歩み去る」。
その「残身の美しさ」に人間としての格が出る。
「プロとして」「残身の美しさ」
両方とも、今のワタシに欠けているものだから、心に突き刺さるん
だろうなあ。
何歳になっても揺れ動く・・・そんな気分になりがちな女性に
オススメ。
Comments
「残身の美しさ」か~!
最近、そんな美しさを意識して行動してしまったことがあるよ。
本当はその場でむちゃくちゃ気持ちを表したかったんだけどね…。
やはり自分の年齢を考慮してしまったわ…。
無邪気でいたいのにできないようなことってあるよね。
でも「残身の美しさ」と言えると思うと救われる思いがしました。ぐしゅん。
Posted by: まっちゃん松葉 | October 01, 2008 01:14 PM
>まっちゃん松葉ちゃん
まっちゃん松葉ちゃんのそんな行動・意識に拍手
「残身」とあわせて、「残心」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~karate/html/sub_html.htm/study-karate/study_zansin.htm
という言葉も書かれていました。
何かあれば心が騒ぎ、ジタバタしちゃうし、いまくいけば簡単に油断してしまう。。。
人間だもの~。
でも、年相応の大人の振る舞いができるようにはなりたいよネ。
Posted by: lamb_labo | October 02, 2008 11:46 PM