「世にも美しい数学入門」
この世の中に数学がなかったら・・・とまでは言わないけれども。
100歩譲って、数学が受験科目として存在していなかったら。
ワタシの人生は、違う方向に動いていたかもしれない。。。
と妄想したことは1度や2度ではない。
算数の時代からワタシにとっては天敵。
受験科目に数学が入っていなければ、共通一次(おーっと、
今は”センター試験”か・・・)を受けて、国公立大学に入学し、
親孝行できただろうとか。
密かに目指していた医療関係の仕事に就けたのではないか
とか。
まあ、いつもの妄想なんだけど。
そんなワタシが、天敵と対峙する?
いや、実は、数学を専門とする方とのかかわりが今後深まり
そうな展開なのだ。
なので、今のうちに少しでも天敵(別にかかわる人が悪いわけ
ではない)を理解しよう・・・という思いで手に取った本である。
小川洋子さんの「博士の愛した数式」は、
だいぶ前に読了している。
この本は、その小川洋子さんと、
「国家の品格」が大ベストセラーと
なっている、数学者の藤原正彦さんとの
対談で進行していく。
途中、xとかnとかfとかが出てくるところは「あっちゃー!」という
感じなのだが、全体的にはおもしろく、分かりやすい。
数学者が、ヒラメキと苦悩の末、定理を導きだすエピソードなんて
人間くさくて本当にひきこまれる。
キーワードは「美しい」。
藤原氏は「数学は美しい」を連発。
そう、美しいか美しくないかが問題なのだ。
それを基準に数学を語る。
あまりの連発ぶりに、数学=天敵と認識しているワタシですら
「数学は・・・美しいのか?」と思い込んでしまうほどの説得力!
藤原氏による「あとがき」が印象的だ。
(一部引用)
最近では、物事の価値が「役に立つか立たないか」
で判断されるようになってきた。
大学でも役に立つ学問ばかりが奨励されている。
一方で、人間の知的活動の土台ともいえる国語と
数学が著しく軽視されている。
この風潮に一矢を報いんと、高貴な学問の象徴で
ある数学の復権を試みた。数学や文学、芸術で最も大切なのは「美と感動」だ
と思う。
これらは金儲けには役立たない。
しかし、「生まれてきてよかった」と感じさせるものは
美や感動である。
数学や文学、芸術は、それらを私たちに与えてくれる
という点で、最も本質的に人類の役に立っている。
この本は、藤原氏をはじめとする数学を愛する人と、ワタシの
ような数学嫌いのバリバリ文系の人との間に、今までなかった
一つの橋をかけてくれた。
そして、その橋の真ん中でお互いに声を掛け合うのだ。
「もっと仲良くしようよ。きっと、そこから新しい美しさが生まれる
かもしれないよ。」と。
Comments
まさに、私好みの美学です。
Posted by: ちよ | May 03, 2006 12:20 PM
>ちよさん
コメントありがとうございます。
ゆうちゃん&とらちゃんもお元気ですか?
>まさに、私好みの美学です。
あとがきの部分、まさに現在の社会に対して言っているような・・・。
「最も本質的に・・・」のくだりは思わず身震いしちゃいました!
Posted by: lamb_labo | May 03, 2006 04:03 PM